空襲での焼失を免れた築年数不詳の木造平屋建て。今回のご依頼は“洋風モダン”に仕上げてほしいというご希望で、和風の古民家再生を封印し、どこまで施主様のご依頼にこたえられるか、自己との戦いが始まりました…
焼失が免れたといえ、築年数はざっと70~80年以上。まだコンクリートが普及していない時代の建物であり、かなりの補強工事が必要のことは経験上すぐに直感した。
柱の傾き、水漏れによる根腐れの可能性、増改築の繰り返しによる柱、梁の抜き取り等々。数え上げればきりがないほど、強敵が待ち受けていそうな予感!!
いざ解体が始まると直感がものの見事に的中。もともと数少ない筋違まで切られ最悪の状態。
3連戸という建物の構造上の利点でのみ辛うじて建っていたという感じ。そう思うと建物ってそう簡単に倒れないものですね(笑)
とすれば、阪神淡路大震災の地震エネルギーたるものは計り知れないものですね!?
今回はがっちりとしたコンクリートのベタ基礎を人海戦術で打設しました。右の写真は防湿シートの上ワイヤーメッシュを敷いたところ。耐圧版も15cmの厚みを確保し今年も猛暑の中、熱中症と闘いながらの作業。
職人のみなさん、ご苦労様で頭が下がります。
ようやく基礎工事も完了し、いよいよ躯体工事に着手。
こちらは新しく入れた柱との垂直を比較した写真。最上部で約30cmの傾きがありました。何度も言いますが、よく堪えていたものです。柱さん、感謝、感謝です。
壁面にスタイロフォームが見えているのがお隣さんとの界壁で、遮音を兼ねて壁面の崩壊を押えました。
新しい柱の施工状況です。間取りの都合上、入らないところ以外は全て3尺ピッチで柱を入れ、梁や束も新しく入れ替えました。
足元も頭つなぎの緊結もこれで大丈夫。構造用金物で基礎と一体化し、平屋建てにもかかわらず、梁との緊結には は金物 以上を使用しました。
また1カ所もなかった筋違も構造用合板でがっちりガード。お隣さんの強度まで支える勢いで入っていますね!
これで周りが地震で崩壊してもこのお宅はそびえ立っているでしょう(笑)
各部屋の輪郭も出来上がりいよいよ仕上げの段階。
木製建具枠の取り付け、電気の仕込み配線やエアコンの仕込み配管状況。
補強用のベニヤ張りや、クロス下地のプラスターボードも張れてきました。
外観は、黒とアイボリーの2トーンとし、壁の仕上りは塗壁のかき落し風としました。
玄関周りはメーター等の移動し、すっきりとして、玄関ドアも高さ、幅をめいっぱい取りました。
さらに、開口部を大きくとることによりホールを広く、明るくしました。
当初はこんなに傾いていたのに、きれいにまっすぐになりました。
写真では少し解り辛いのですが、廊下の天井高さを屋根勾配に合わせて、3.5m程高くとったことにより見た目よりも広く、開放感を感じます。
こちらは家族だんらんのリビングムール。
低い天井をとっぱらい、屋根勾配に合わせた天井は、約4mの高さ。
既存の梁をアクセントで残し、古色で色を整えました。
リビング側から見たオープンなキッチンスペース。
あえて隠さずに露出演出したレンジフードの排気ダクト。
とっても違和感なく自然な雰囲気で納まりました。
1つ目は次女様のお部屋です。平面計画上、どうしても廊下を挟んで無窓のお部屋が2つ出来てしまうのでトップライトを設け、採光を確保。
逆に1番明るいお部屋になりました。
こちらは奥様のお部屋。
当初は全て低い天井が張られ圧迫感がありましたが、屋根の構造上、絶対三角の空間があると読んでいましたので、中2部屋についてはロフト+TOPライトを設ける計画でした。
こちらにも既存の梁を露出させ、邪魔にならないようにロフトを設け、アクセントに残しました。
昼間は全く照明は必要ありません!
唯一あった2階の1室。
階段は残しましたが、その他はすべて新しくしました。
階段側には大きなFIX窓を設け開放感を演出。
壁一面の収納もご家族からは恨めしい声が…
いかがでしたでしょうか、今回の“洋風モダン”なリノベーションの出来は?
Copyright © 長岡京でリフォームを行うHAMAGUCHI KOUMUTEN all rights reserved.